教育コラムNO7「黒川温泉」
今回は「黒川温泉」です。
私は幸せなことに、何度も訪れたことがあります。
その経験から、なぜ黒川温泉が凄い温泉になったのか、
ちょっとその秘密を考えてみました。
熊本は温泉天国です。
全ての自治体に温泉、それも複数の天然温泉です。
さて、その中で群を抜いて全国区なのが「黒川温泉」です。
ここ20年の間に、なぜ潰れかけていた温泉がそこまで再生したのか。
黒川温泉は、熊本市内から車で約2時間、
阿蘇は北外輪山に位置します。
20名も泊まれば一杯となる小さな宿30軒程が、
筑後川の源流域に点在しています。
黒川の特徴は、
一軒一軒の泉質が違うこと。
そして湯巡りと称して、
各温泉宿自慢の天然温泉を楽しめるところにあります。
また、自然溢れる静かな佇まい、
心安らぐ空間です。
ちょうど、大勢で賑やかに温泉を楽しむ時代から、
個人旅行への転換期を見事に捉えました。
しかし事は簡単に始まった訳でなかったことは確かです。
黒川も同様に、皆で集まっては「行政が何とか」です。
また、一緒に何かをやろうとしても足並みは揃いません。
理由は簡単です。一軒一軒抱えている事情が違うのですから。
そんな時、ある業を煮やした宿の主人が、
一人でこつこつと庭木の手入れや風情のあるお風呂づくりに精を出しました。
するとその評判が広がり、
全国から癒しを求めて温泉客が集まり出したのです。
一軒の主人の取組みが、少しずつ仲間へと広がり、
風情ある温泉「黒川」を誕生させたのです。
注目すべきところは、
決して全ての旅館が再生した訳でないことです。
跡取りが居ないなど、手放したい宿主に外資から買い手が現れ、
旧住民と新住民とが融合する温泉町になったのです。
これは湯布院に良く似ています。
温泉経営に、レストラン、お土産屋など、
たくさんの外部の人たちが流入して、活性化につながっています。
また、黒川温泉は温泉組合が全面に出てきません。
一軒一軒の宿が、宿としてプライドを持って、
自立した経営を行っています。
組合中心でボスが居て、縦社会的に組織が主導権を握る方式ではなく、
最低限、かつ効果的なことだけを恊働で行う、
横社会的で、個人主義的な関係です。
いかがでしょうか、皆さんの町では。
同じく、商店街の活性化で成功しているところは、
こうした黒川社会的な感じだと思いませんか。
初めから行政に頼っている。行政が主導で取組んでいる。
こうした多くの場合は、
上手く行っているようで内情を見ると財政が困窮しているケースが殆どです。
黒川温泉がある隣町では、
行政が主導的に、立派な箱物中心でまちづくりを進めてきました。
当時は、こうした行政の取組みが注目されましたが、
結果的には、多額の負債を抱えて苦しんでいます。
いまこの町は、少しずつも住民一人ひとりが取組む家族風呂経営、
旅館経営、食事何処経営などが頭を出して来ています。
地域が活性化する。
そのためには、一人ひとりが行政に頼ることなく、
自らやる覚悟が大切なことを教えてくれます。
これからの地域の学校教育、生涯学習なども同じでしょう。
そんな思いです。

